目次
三体はどんな朗読?
「三体」は中国の作家劉慈欣(リウ・ツーシン)によるSF小説です。宇宙文明の衝突と人類の運命を描いた壮大な物語です。
先にお伝えします、本作品は長いです。
中国文化大革命から現代にかけて〇〇〇との接触を契機に、人類が直面する危機と希望を描き出します。
この作品は深遠な科学理論と哲学的テーマを織り交ぜ、読者を圧倒する魅力に満ちています。オーディブル会員になると定額聴き放題となる作品で再生時間は17 時間 31分です。
オーディブル版「三体」は、通常のオーディオブックと同様に章ごとに分かれており、原作の構成に忠実に再現されています。
1日30分朗読を聴いた場合、約36日目に聴き終えることになります。
私はNetflixでドラマ『三体』を観て原作を読んでみたくなりオーディブルアプリで目に留まりました。
元々SF小説には興味があり、中国SFの最高峰と名高いこの作品を以前から気にはしていたものの、分厚いハードカバーを開く勇気はなかなか出ませんでした。しかし、オーディブルの存在がその壁をあっさりと崩してくれました。
科学者の葉文潔が人類の運命を揺るがす決定的な行動をとることから展開していきます。しっかりあなたの予想を超える展開が待っています。
これ以上はオーディブルで聞いて、自分の耳で聞いてみてください!
最初に再生ボタンを押した瞬間、祐仙 勇の深みのあるナレーションにすぐに引き込まれました。登場人物が多く、まず名前が覚えられない。最初は何が何だか分からなかったです。
ただナレーターの声は、冷たく暗い宇宙の無限の広がりと、科学者たちの絶望と希望の交錯を見事に表現していました。耳元で語られるその言葉一つ一つが、活字で読むよりも遥かに生き生きと、そして重々しく響きました。
物語の進行とともに、気づけば一人で部屋を掃除しながら、あるいは散歩をしながら、聴き続けていました。日常の中に宇宙の謎と人類の危機が溶け込んでいく感覚は、まさにオーディブルならではの体験でした。30分などアッという間です。
中国での大ヒットと、その後の世界的な評価に驚かされ、この目で確かめてみたいという欲求が湧いて先にNetflixでドラマ『三体』を観ました。とても素晴らしかったです。
ただ、この後のオーディブルでの体験は、ドラマを見た後にも関わらず、その期待を裏切らず、むしろそれ以上の満足感を与えてくれました。物語の難解さや専門的な内容に戸惑うことも多々ありましたが、祐仙 勇の丁寧なナレーションがそれを乗り越える助けとなったと思います。
彼の語り口は、感情を過剰に表現することなく、物語の緊張感を保ちながらもリスナーを自然に物語の中へと引き込んでいきます。そのバランス感覚が、「三体」の重厚なテーマを更に際立たせていたと感じました。特に、登場人物たちの葛藤や心の動きが声色で巧みに表現されており、これが作品全体の深みを増していたと感じました。
総じて、「三体」をオーディブルで聴く体験は、私にとって新たな次元の読書体験でした。単なるSF小説としてではなく、人類の未来とその可能性を問いかける壮大な叙事詩として、何度も繰り返し聴きたくなる作品です。
オーディブルでのナレーションがその魅力をさらに引き立て、まるで映画を見ているかのような臨場感。この作品をまだ体験していないSFファンには、ぜひオーディブル版を強くおすすめします!
沈黙の春 狂乱の時代
物語は、第一部「沈黙の春」として文化大革命(1967年)の中国から始まります。科学者たちが弾圧され、知識人が迫害されるこの時代、物語の主人公の一人、葉文潔(イエ・ウェンジェ)は、悲劇的な運命に見舞われます。彼女の家族は迫害され、彼女自身も弾圧の犠牲となります。この厳しい時代背景が、彼女の後の行動と思想に大きな影響を与えます。
より深く楽しむ!
文化大革命とは?
中国の歴史の中でも特に重要な出来事の一つで、1966年から1976年にかけて行われました。
中国共産党の指導者、毛沢東(もうたくとう)が主導し、社会主義体制を強化しようとした運動です。公式には「プロレタリア文化大革命」と呼ばれ、その目的は、資本主義的な考え方や伝統的な文化を根絶し、共産主義思想に基づく新しい社会を作り上げることでした。
文化大革命は、毛沢東が権力基盤を再強化するために始めたとも言われています。当時、毛沢東の政策に対する批判が高まりつつあり、彼は自身の地位を守るために、大衆運動を利用しようと考えました。この運動の中心となったのが、紅衛兵(こうえいへい)と呼ばれる学生たちでした。紅衛兵は、毛沢東の思想を熱狂的に支持し、学校や職場で「反革命分子」を摘発し批判や暴力を行いました。
文化大革命の過程で、多くの知識人や政府官僚が「反革命分子」として糾弾され、投獄されたり、農村へ送られたりしました。また、伝統的な文化や宗教施設、歴史的遺産が破壊され、中国の文化や教育は大きな打撃を受けました。人々は毛沢東語録を持ち歩き、彼の思想を絶対視するよう強制されました。
しかし、この運動は中国社会に大混乱をもたらし、経済活動が停滞し、多くの人々が苦しみました。毛沢東の死後、文化大革命は失敗とみなされ、1976年に終結しました。その後、鄧小平(とうしょうへい)を中心とした新しい指導者層が、改革開放政策を進め、中国は再び経済成長の道を歩み始めました。
文化大革命は、約10年間にわたる政治的・社会的な混乱と抑圧の象徴であり、中国の現代史においても非常に重要な位置を占めています。この時期の教訓から、中国では社会の安定と経済発展の重要性が強調されるようになりました。
その後、物語は現代に移ります。ここから先はネタバレを含みます・・・
物語が進む中で地球外知的生命体との接触が明らかになります。この接触により、人類は未知の脅威と直面することになります。地球外文明である三体文明は、三つの太陽を持つ不安定な惑星に住んでおり、その過酷な環境から脱出するために地球を侵略しようとします。
登場人物について詳しく
葉文潔
ストーリーが展開する中、中心人物の一人で、文化大革命時代に科学者として弾圧を受ける。彼女は後に地球外文明と接触することに。
中国文化大革命の時代に科学者としてのキャリアをスタート。彼女は天文学者であり、非常に優れた科学者としての才能を持っていました。しかし、文化大革命の混乱の中で、彼女の人生は大きく変わります。彼女の父親は、科学的信念のために迫害され、目の前で残虐に殺害されます。この出来事が葉文潔の心に深い傷を残し、人類に対する強い失望感と疎外感を抱くようになります。
その後、極秘プロジェクトに参加し、レッドコースト基地という軍事施設で働くことになります。ここで彼女は、地球外知的生命体とのコンタクトを目指すプロジェクトに関与することになり葉文潔は、地球外文明との通信を可能にするために、電波を宇宙に向けて発信することを担当します。ある日、彼女は意図的に強力な信号を宇宙に送り、三体文明との接触を試みます。
三体文明からの返答を受け取った葉文潔は、彼らが地球に来るという決断を下す大きな要因となります。彼女は、地球の人類が自己破壊的であると信じており、人類を救うためには外部からの力が必要だと考えました。彼女は、三体文明に地球の座標を教えることを選び、地球が三体文明の侵略対象となる道筋を作ります。
葉文潔の行動は、彼女の過去の経験と、世界に対する絶望感から生じています。彼女は、人類が自らの利己主義と暴力によって絶滅の道を歩んでいると感じており、それを止めるために、外部の知的生命体の介入が必要だと考えました。しかし、この選択は、地球と人類を重大な危機に陥れることになります。
彼女の行動は単なる裏切りではなく、深く葛藤した末の決断であり、人類の未来を憂える複雑な心理が反映されています。彼女は、地球外文明が地球に介入することで、人類が自己改革を果たすことを期待していましたが、それが人類にとっての脅威となることを理解していなかったのです。
葉文潔の決断は、「三体」の物語の出発点となり、全ての後続する出来事を導きます。彼女が三体文明と接触したことで、地球と人類は未曾有の危機に直面することになります。彼女の行動は、物語の緊張感とサスペンスを高め、読者に人類の未来について深く考えさせる要因となっています。
最終的に、葉文潔は自身の選択がもたらした結果に直面し、その重さを痛感することになります。彼女のキャラクターは、単なる敵役ではなく、人類の矛盾した感情と複雑な倫理的問題を体現する存在として描かれています。
葉文潔は、「三体」の中心的な人物であり、彼女の物語は、作品全体のテーマを深く掘り下げる鍵となっています。彼女の決断とその結果は、読者にとって深い印象を残すものであり、人類の未来に対する希望と恐怖が交錯する物語の核となっています。
王鳴
現代の科学者で、ナノ材料の研究者。異常現象に遭遇し、三体問題を解明するための中心人物。家庭を持つ普通の人間であり、平穏な生活を送っています。
王鳴は、科学に対して強い信念を持ち、物理的な現象を理解することに喜びを感じる典型的な科学者です。彼は現実主義者であり、超自然的な現象やオカルト的なものには懐疑的な態度を取っています。
物語が進むにつれて、王鳴は不可解な現象に巻き込まれ始めます。彼は、目の前に現れる「カウントダウン」という数字の幻覚に悩まされ、それが科学的に説明できないものであることに混乱します。
この現象を理解しようとする過程で、彼は「三体」という謎の仮想現実ゲームに関与することになります。「三体」ゲームは、三体文明が直面している物理的な問題やその文明の歴史をシミュレーションするものであり、王鳴はこのゲームを通じて三体文明の存在に気づきます。ゲーム内での体験を通じて、彼は次第に地球外生命体の存在と、それが地球に与える脅威についての理解を深めていきます。
王鳴は科学者としての理性と、目の前に迫る未知の現象との間で葛藤します。彼は、これまで信じてきた科学の法則が用しない状況に直面し、自分の理解を超える事態に対応しなければならないというプレッシャーを感じます。この過程で、彼の内面に変化が生じ、単なる科学者としての枠を超えて、人類の存続という大きな問題に向き合うことになります。
王鳴は物語の中で、トリスラーと呼ばれる他のキャラクターたちと協力し、三体文明の脅威に立ち向かおうとします。
彼は、自分が直面している状況が一人の科学者では到底解決できないものであることを悟り、他者との協力の重要性を理解するようになります。この過程で彼は他の登場人物との関係を深め、物語全体の緊張感を高める役割を果たします。物語の終盤では、王鳴は自分の科学的知識と直感を駆使して、三体文明に対抗するための重要な決断を下します。彼の決断は物語の結末に大きな影響を与え、読者にとっても非常に重要なシーンとなります。
彼は、自らの限界を超えて行動することで、科学者としてだけでなく、人間としての成長を遂げるキャラクターとして描かれます。王鳴は、冷静で理知的な科学者でありながらも、未知の状況に対して脆さや恐れを感じる一面を持っています。彼は物語を通じて成長し、科学と人類の未来についての深い理解を得るに至ります。その過程で、彼は人間の好奇心や理性が、未知の脅威にどう対処できるのかを模索し続けます。
総じて、王鳴は「三体」における科学と人類の存続というテーマを象徴するキャラクターであり、物語を通じて彼の成長と変化を追うことで、読者もまた彼の葛藤や決断に共感することができます。彼の旅は、単なる科学的な探求を超えて、人類全体の未来を見据えた壮大なものとなっています。
史強
軍人で、王鳴と共に三体問題の解決に関わる。中国人民解放軍のベテラン警察官であり、職務において非常に優れた直感と判断力を持っています。彼は頑固でタフな性格を持ち、時には強引な手法も辞さない現実主義者です。彼の冷静な判断と経験に基づく直感は、物語が進行する中で何度も重要な役割を果たします。
物語が進むにつれて、史強は三体文明という未知の脅威に直面します。彼はこの脅威を現実的かつ冷静に捉え、軍人としての経験を生かして対応策を模索します。史強は、地球の未来がかかっていることを理解し、自己犠牲の精神で地球防衛のために全力を尽くします。彼は、三体文明がどれほどの脅威であるかを認識し、その脅威に対する準備を怠らない人物です。史強は、実務的かつ現実的な方法で問題に取り組みます。彼のリーダーシップは、特に危機的な状況で際立ちます。彼は、理論や哲学よりも、行動と結果を重視するタイプの人物であり、そのため、しばしば困難な決断を下すことをためらいません。
彼の決断力と行動力は、物語の中で他のキャラクターたちが前に進むための推進力となります。史強は、厳格でタフな外見とは裏腹に、人間味あふれるキャラクターでもあります。彼は仲間を思いやり、危険を冒してでも他者を守る姿勢を見せます。彼のユーモアや時折見せる優しさは、物語の中で彼を単なる軍人としてではなく、深みのある人物として描き出しています。史強の存在は、物語の中で非常に重要です。彼の実務的な対応とリーダーシップは、物語が進行する上で欠かせない要素となり、彼の行動が物語全体に大きな影響を与えます。彼のキャラクターは、科学的なテーマを扱う「三体」において、現実世界での危機管理や対策の重要性を象徴しています。
総じて、史強は「三体」の中で現実的かつ実践的な視点を提供するキャラクターであり、物語におけるバランスを保つ重要な存在です。彼の行動と決断は、物語の緊張感を高め、読者に対して人間の強さと脆さ、そして未知の脅威に直面したときの対応の仕方を考えさせるものとなっています。
三体人
三体文明の住民で、地球侵略を計画する異星人!
理論について解説
本作品には数多くの科学的な理論や問題が登場しますが、オーディブル版の朗読においてもこれらは物語の核心として重要な役割を果たします。以下は、作品中で特に重要な3つの科学的な問題と理論についての解説です。
さらに詳しく
三体問題(The Three-Body Problem)
理論と背景
- タイトルにもなっている「三体問題」とは、天体力学における古典的な問題で、3つの質量のある天体が互いに重力の影響を与えあい、複雑な運動をするシステムを指します。2つの天体の運動はニュートンの万有引力の法則で比較的簡単に予測できますが、3つ以上になるとその運動は非常に不安定になり、カオス的な振る舞いを見せます。これが「三体問題」と呼ばれる難題です。
- 物語の中心には、三つの太陽を持つ不安定な星系に住む「三体人」がいます。彼らは、三体問題によりその惑星の環境が極めて不安定で、時には極寒期、時には極熱期に見舞われるため、生存が常に脅かされている状態です。彼らが地球への移住を望む理由の一つは、この不安定な環境から脱出するためです。
- 祐仙 勇のナレーションでは、この三体問題のカオス的な振る舞いが丁寧に解説され、複雑な理論を聞き手にわかりやすく伝えています。リスナーは、三体人がいかにこの不安定な環境で苦しみ、地球という「安定した環境」を渇望しているかを感情的に理解できます。
フェルミのパラドックス
(Fermi's Paradox)
理論と背景
- フェルミのパラドックスは、宇宙には無数の星があり、多くの文明が存在するはずなのに、なぜ私たちは今までその痕跡を一切見つけていないのか、という疑問です。これに対する解釈として、文明同士が互いに接触を避けている、もしくは破壊されてしまうなどの仮説が存在します。
- 『三体』では、地球外文明(すなわち三体人)が地球を発見するという状況が描かれていますが、その接触は決して友好的なものではありません。三体人は地球を侵略することを目論んでおり、これはフェルミのパラドックスに対する一つの答えとなっています。つまり、高度な文明が他の文明と接触すると、しばしばそれは破壊的な結果をもたらすという「ダークフォレスト理論」が展開されます。
- フェルミのパラドックスに関連する部分は、祐仙 勇の落ち着いたナレーションで、徐々に迫りくる脅威として語られます。リスナーは、地球がどのように三体人に狙われ、やがてその存在を知る恐怖感が高まる様子を、感覚的に理解できるようになります。
ダークフォレスト理論
(Dark Forest Theory)
理論と背景
- 『三体』の中で提示される「ダークフォレスト理論」は、宇宙は一種の暗い森のような場所であり、そこに存在するすべての文明は互いに潜んでいるという仮説です。宇宙には無数の文明があるかもしれませんが、すべての文明は自分が発見されることを恐れており、他の文明を発見すると、相手に脅威を感じ、攻撃する可能性が高いとされます。これにより、宇宙は常に静寂に包まれているという考え方です。
- 『三体』では、このダークフォレスト理論が物語の中心的なテーマとなります。地球外文明と人類の接触が、友好的ではなく脅威となりうることが示されています。三体人は地球を脅威と見なし、地球の存在を知るや否や侵略を決意します。この理論は、他の文明との接触が常にリスクを伴うという宇宙の過酷な現実を描写しています。
- 祐仙 勇の語りは、このダークフォレスト理論がもたらす冷たい現実をしっかりと伝えます。彼のナレーションは静かで重みがあり、リスナーはこの理論がもたらす絶望感や、文明同士の生き残りをかけたゲームの緊張感を感じ取ることができます。理論の解説部分も、シンプルでわかりやすく、複雑な概念を整理して伝える技術が光ります。
科学的な理論や問題は、物語の緊張感と深みを支える重要な要素です。三体問題、フェルミのパラドックス、そしてダークフォレスト理論といったテーマが、物語全体にわたって展開され、SFの醍醐味を味わうことができます。
物語における中心的な異星人
「三体人」は、三つの太陽を持つ不安定な星系に住む高度な知的生命体で、『三体』の物語における中心的な異星人です。彼らの生態と地球への脅威は、物語全体の大きなテーマとなっています。以下は、その生態と脅威についての詳細な解説です。
三体人の生態
三体人は、非常に特殊な環境に適応して進化した生命体です。その星系には三つの太陽が存在し、その結果、彼らの惑星は安定した気候を持たず、非常に過酷で予測不可能な環境に置かれています。このような環境下で三体人は進化し、地球人とは全く異なる生態を持つようになりました。
(1) 脱水状態での生存
三体人の最大の特徴は、彼らが「脱水状態」に入ることで、極端な環境に対処できることです。過酷な時期、特に極端な暑さや寒さが襲う「カオス時代」では、彼らは体内の水分を失い、乾燥状態で休眠します。この状態では、彼らの生理活動はほぼ停止しますが、環境が安定すると再び活動を再開することが可能です。
(2) 身体の脆弱性と知性の高度化
三体人は物理的な意味で脆弱な存在です。彼らの身体は耐久性が低く、地球人のような強靭さを持っていません。しかし、その知性は非常に発達しており、進化の過程で卓越した技術を開発し、科学の分野では地球人を遥かに凌駕しています。特に、彼らの文明は非常に長い歴史を持ち、その知識の蓄積が彼らの社会を支えています。
(3) 集団意識と個体差のなさ
三体人は、地球人のような個性や感情に基づいた個別的な存在ではなく、彼らの意識はある種の集団的な意識を共有しているとされています。これにより、彼らの行動は効率的かつ合理的であり、個人の欲望や感情に左右されることは少ないと言えます。この特徴は、彼らが戦争や侵略に対しても冷徹かつ戦略的な態度を取ることができる理由の一つです。
地球への脅威
三体人は、三体星系の不安定な環境から脱出し、より安定した生存環境を求めて地球を標的にします。彼らの科学技術は地球のものよりもはるかに進んでおり、地球人類にとって極めて深刻な脅威となります。
(1) 地球侵略の動機
三体人の星系は、三つの太陽の軌道によりカオス状態にあり、彼らの生存は常に危機的状況にあります。この星系では「安定時代」と呼ばれる短期間の安定期と、極端な気候変動が続く「カオス時代」が不規則に交互に訪れます。この過酷な環境を脱するため、三体人は地球のように安定した環境を持つ惑星への移住を切望しています。地球は彼らにとって理想的な環境であり、彼らはその環境を奪うために侵略を企てます。
(2) テクノロジーの圧倒的な優位性
三体人のテクノロジーは、人類をはるかに上回っています。彼らは「ソフォン」と呼ばれる超小型の粒子状装置を作り出し、これを使って地球の科学技術の発展を阻害することができます。ソフォンは量子レベルで操作が可能で、地球の量子コンピュータや実験を混乱させ、地球人が三体人に対抗するための技術的進歩を妨害します。このため、地球は彼らに対抗する術をほとんど持っていません。
(3) 道徳的な冷酷さ
三体人は、地球人に対して冷酷な態度を取ります。彼らは自らの生存を最優先とし、地球の資源や環境を奪うために地球人を滅ぼすことをためらいません。彼らにとって、地球人類はただの「資源」としてしか見なされず、感情的な共感や交渉の余地はほとんど存在しません。これがフェルミのパラドックスに関連する「ダークフォレスト理論」に結びつき、文明間の接触が破滅的な結果をもたらす可能性を示しています。
三体人との戦いの難しさ
三体人との戦いは、技術的な劣勢だけでなく、心理的・倫理的な次元でも非常に困難です。地球の防衛側は、三体人の進行を食い止めるための策を練りますが、三体人の圧倒的な技術力と冷徹な戦略に対抗するのは容易ではありません。物語が進行するにつれて、地球の科学者たちや軍人は、三体人に対する対抗手段を模索し続けますが、三体人の存在そのものが、地球人類にとって未曾有の脅威であることに変わりはありません。
三体人は、過酷な環境に適応しながらも地球を侵略しようとする高度な異星人であり、その存在は地球人にとって巨大な脅威となっています。彼らの生態は、三体星系の不安定な環境に強く影響されており、そのため安定した地球の環境を手に入れようとします。また、彼らの高度なテクノロジーと冷徹な倫理観は、地球人類との接触がいかに危険であるかを物語っています。『三体』は、このような異星人との接触がもたらす文明の危機と、その中での人類の生存戦略を描く壮大な物語です。
人類の問題を考えることに・・・
根本的な問題を浮き彫りに
科学と技術への盲信と限界
科学の進歩がもたらす不安定さ
物語では、科学の進歩が人類の未来を決定づける重要な要素として描かれています。人類は、科学技術が全ての問題を解決し、より良い未来をもたらすと信じていますが、三体人のテクノロジーによってその信念は打ち砕かれます。三体人が使用する「ソフォン」は、地球上の科学技術を阻害し、特に量子物理学の分野での進歩を止めてしまいます。これにより、人類はテクノロジーに対する依存がいかに脆弱であるかを突きつけられます。
科学の軍事化と倫理的問題
さらに、科学技術の進歩はしばしば軍事利用され、技術そのものが人類の破壊を招く危険性もはらんでいます。作品の中では、人類が三体人に対抗するために科学技術を利用しようとしますが、その過程で倫理的なジレンマに直面します。例えば、科学者が三体人に対抗するために過激な手段を模索する場面では、技術の軍事利用が引き起こす倫理的問題が強調されます。
地球外知的生命体への対応における分断
人類社会の分断
三体人との接触がもたらした最大の危機の一つは、人類内部の分断です。異星人の存在が公に知られると、人類は一致団結して対抗するどころか、様々な思想や利害関係が衝突し、内部での対立が深まります。一部の人々は三体人に協力し、地球の未来を彼らに委ねようとし、一方で他の人々は抵抗を試みます。このような分断は、人類が外部の脅威に直面しても団結できない弱さを象徴しています。
利己的な行動と短期的な視点
三体人という巨大な脅威を前にしても、個々の国家や組織はしばしば自国の利益や一時的な利益を優先します。長期的な視点で人類全体の未来を考えるよりも、目先の利益を追求する行動が目立ちます。これにより、三体人との戦いが一層困難になることが示され、現実社会における国際的な協力の難しさが反映されています。
倫理的なジレンマと人間の自己犠牲
ダークフォレスト理論と自己保存の本能
『三体』に登場する「ダークフォレスト理論」は、文明同士が互いに発見されることを恐れ、先に相手を滅ぼそうとする本能的な行動を描いています。これは、自己保存の本能がもたらす倫理的なジレンマを象徴しています。人類が三体人を脅威と認識したとき、彼らは三体人を先制攻撃するか、それとも平和的に共存の道を模索するかという究極の選択に直面します。しかし、作品はそのような「共存」が現実的ではなく、文明間の接触が破滅的な結果をもたらす可能性を強調します。
人類の冷酷な決断
物語の後半では、人類が三体人に対抗するために取る手段が、時に冷酷で非人道的なものになります。例えば、地球を守るために多くの人命が犠牲にされる決断が下されることがあります。このような選択は、人類が自らの生存を優先するために倫理的な枠組みを超えて行動することを示唆しており、極限状態での人間の冷酷さと非道さが描かれています。
文明の脆弱性と自然界の無力さ
自然に対する無力感
三体星系の不安定な環境は、人間がいかに自然の力に対して無力であるかを象徴しています。地球という安定した環境がいかに貴重であるかを三体人は渇望し、その対比として、地球人は自分たちが享受している安定に対して鈍感です。人間は、自分たちの存在が自然の一部であり、環境が崩れるとその存続が危うくなることを再認識させられます。
文明の崩壊の脅威
三体人の侵略は、文明そのものの脆弱さを強調します。地球人類は高度な文明を築いていますが、その文明は外部からの圧力に非常に脆い存在です。地球人は三体人との戦いを通じて、自分たちの文明がどれほど容易に崩壊しうるかを悟り、それに対してどのように対処すべきかを模索することになります。この点は、現代社会における環境問題や技術の乱用など、さまざまな脅威に直面している私たちの現実を反映しています。
人類の希望と連帯の欠如
人類の未来に対する悲観的な見通し
『三体』全体を通じて、人類の未来に対する悲観的な視点が繰り返し描かれています。三体人という圧倒的な力に直面したとき、人類は自分たちの弱さと限界を認識し、その未来が必ずしも明るいものでないことを悟ります。特に、技術の進歩や外部からの圧力に対して人類が一枚岩になれないことが、未来への希望を奪い取っているかのようです。
希望の断片
しかし、物語の中には、絶望的な状況においても人類が持つ「希望の断片」も描かれています。三体人に対する抵抗の中で、一部の科学者やリーダーたちは人類の存続のために自らの命を犠牲にする姿が描かれます。このような自己犠牲や、困難な状況下での連帯は、人類が完全に滅びることなく、最後の希望を捨てずに戦う姿勢を示しています。
『三体』は、SF的なストーリーの中に、現実社会の問題や人類の根本的な性質を深く掘り下げています。科学技術の進歩に対する盲信、内部での分断、倫理的ジレンマ、自然に対する無力さ、そして未来に対する希望と絶望の交錯が、人類という存在の複雑さを浮き彫りにしています。三体人という異星人との接触は、人類が自身を見つめ直し、共存と存続のための新たな視点を求める契機となっているのです。
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